平成28年度現在で13万人以上もの小中学生が不登校になっています。
その内、中学生に至っては33人に1人の割合になっているといいます。(参照:平成28年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果/文部科学省)
ここまで高い数値を見ていると、小2と幼稚園年中の娘がいる私も他人事とは思えない危機感を抱いてしまいます。
そして、13万人以上の小中学生が不登校に陥っているということは、同じ数もしくはそれ以上の数の保護者の方々もお子さんと共にこの状況にいるということです。
そこでそんな不登校児を持つ保護者の方に向けて、今回は2018年8月26日にNHKで放送された『噂の保護者会スペシャル』「不登校~保護者ができることは?」の中から
不登校初期段階で、親子関係が悪化しないヒントとなる部分をピックアップしてご紹介したいと思います。
不登校が始まった初期段階(2~3か月)
親子にとって一番ツライ時期
尾木ママが番組内で
「とくに最初の2~3ヵ月は親にとってはきつい。この子の将来のためだと必死になってレールに乗せる、普通の子と同じように毎日学校に行かせようとあの手この手で親も一生懸命」
と言うように、不登校が始まった頃は親はなんとか子どもが学校へ行くように子どもを説得したり時には責めたりしてしまいがち。
しかし、そんな親の行動は、親子関係を悪化させ、不登校を長期化させてしまう恐れがあります。
では、具体的にどういった親の行動がは問題があるのでしょうか?
不登校初期に親がやりがちなNG行動
番組冒頭では、子どもが不登校に陥った最初の時期に親がとってしまいがちな行動やそれに対する対策がや助言が紹介されていました。
子どもが登校を渋りだした初期の頃、親はとかく
・行けない理由を聞き出そうとする
・子どもの学校へ行かない心理がわからずイライラする
・学校へ行けない子どもを責める、追い詰める
等の行動をとりがち。
特に不登校の経験がない親は、子どもが学校へ行かないのは「甘えているから」「さぼりたいから」と思い込み、学校へ行かない子どもを責め、追い詰めてしまう傾向があるようです。
しかし、これでは不登校は改善されないどころか、悪化の一途をたどる羽目に。
不登校の専門家の4つのアドバイス
子だけでなく、親も戸惑ってしまう不登校の初期。
では、一体どうすればいいのでしょうか。
番組では、神奈川県川崎市で不登校の子どもと31年以上関わってきた西野博之さんへのインタビューが紹介されていました。
出典:https://futoko.publishers.fm/article/9146/
西野博之(にしのひろゆき)
NPO法人フリースペースたまりば理事長。1960年、東京・浅草生まれ。
86年より不登校児童・生徒や高校中退した若者の居場所づくりにかかわる。
91年、川崎市高津区に「フリースペースたまりば」を開設以降不登校児童・生徒やひきこもり傾向にある若者たち、さまざまな障がいのあるひとたちとともに地域で育ちあう場を続けている。
公設民営の「フリースペースえん」が生まれるまでの15年を綴った本。
西野博之さんと山下英三郎さんが、今の子どもたちが置かれているさまざまな現状を鑑みて、居場所での子どもを見る目、 サポートの仕方を話し合っている本。「自立とは”助けて”が言える、適度に人に依存できる力」などたくさんの学びがこの本でできる。
Q1.子どもが学校へ行かなくなった時に親はまずどうすればいいのか?
A1.『どうしたの?』と子どもの話を共感的に聞こうとする事が最初は大事。子どもが何かあった時にシグナルを出せる雰囲気作りが必要。
最初はちょっと気にかける、気を向ける。私はあなたのことを大事に思っていると信号を子どもに送り、ふとした時に話せるようなアンテナを立てておくことくらいしかできない。
あまり詮索せず、子どもを受け入れること。なんですね。
とはいえ、突然不登校になった時に、何も詮索せずに子どもの話を受け入れる…。というのはなかなか簡単にはできないかもしれませんね。
私などつい色々聞きだそうと躍起になりそうです(-_-;)。
例えば次の質問。
多くの親御さんが子どもに聞きそう!
Q2.「どうして学校に行きたくないの?」と子どもに聞いてはいけない?
A2.自分が学校にいけない理由をハッキリと語れた子どもはほとんどいない。子どもの中では、色々なことが複合して、今行けないという現象が起きているだけで、その理由を問い詰めてもあまり意味はない。
親が理由を言えというから、親には親が納得しそうな理由を、先生には先生が納得しそうな理由を、カウンセラーにはこの理由を…という風に理由を探して言う。
でも、その後成長した彼らに出会うと、「あの時学校に行かない理由をああ言ったけど本当はそうじゃなかったんだよね」というようなのはいくらでもある。
それよりも、今そこにいる子どもを丸ごと受け止めていくほうが大事。
確かに、子どもが学校へ行きたがらない時、正直に理由言えないのってわかる気がします。
子どもからすると正直に言ってもしお家の人に「そんなことで!?大丈夫、学校行きなさい!」とか言われたら嫌ですもんね。
「どうして学校行かないの?」と聞くと子どもは責められている気持ちがするもの。だから、理由を聞くというよりは「どうしたの?」と子どもを気遣う言葉かけをする方が子どもは安心します。
子どもの立場になって考える視点を持つという事が大事なんですね。
Q3.厳しい言葉を子どもについ言ってしまうのだが・・・。
A3.「このままだとお前の将来はない」と脅しのような叱咤激励は逆効果。
”大丈夫”の種をまくほうがいい。親が正論と思うことを言う時は言葉が強くなる。そして、子どもを傷つけてしまう。
だから、子どもが学校を拒絶してウッと動揺していても、まずは「どうした?」というところから始める。
しょっちゅう「〇〇しないと、〇〇できないからね!」と娘たちを脅しまくっている私には耳が痛い話です・・・。
Q4.子どもにひどい言葉を投げかけて傷つけてしまっても取り返しはつく?
A4.どんなにこじれた段階でも「あの時はごめんね」と親から子へ伝えれば、それが雪解けになって少しずつ変化が生まれるから誠意をもって謝ったらいい。
例え謝れなくても、言葉にならなくても本当にそう思えたら、ささやかな言葉遣い、振る舞い、子どもがゲームをしているときの親の目線も変わってくる。それを感じているから子どもは少しずつ回復に向かう。
親も子どもに強い言葉で時にはひどい言い方で「学校へ行け!」ということに不安や言い過ぎたと後悔すると思います。学校へ行くのが当たり前と思えばこういった対応にならざるを得ません。
しかし、親自身が、「学校へ絶対に行く必要はない。」「この子が生きているだけで丸儲け。」「今この子には休憩する時間が必要」という考えへ方向転換できれば、自然とお子さんへの対応も変わってくる。そしてそれは毎日近い距離にいるお子さんには伝わるということです。
「共感的に聞く」ことが大事
西野博之さんのアドバイスをまとめると、
・行きたくない理由を詮索するのではなく、子どものありのままを受け止める。
・責める・叱る・脅すことは止める。それで学校へ行けるようにならない。
・子どもへの厳しい対応を後悔したらそれを子どもに伝える。
ただ、西野さん曰く「子どもは一人ひとり違うので、これという正解はない。」という前提の元のアドバイスでした。
登校刺激したり、行かないことを責めるよりまずは「子どもの話に耳を傾ける」。
何か不登校の状態のご家庭の参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございます。